刑務所情報が盛りだくさんの第61回全国矯正展に行った
一昨日くらいに刑務所のことについて調べていたら、九段下の科学技術館で刑務所作業製品を販売したり刑務所について学べたりする矯正展というイベントをやっていたので行ってきました。
矯正? と思いましたが刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、などを矯正施設と呼ぶのでそういう名前がついてるみたいです。
http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00026.html
これはパンフレットなのですが、オープニングセレモニーにEXILEの人が来ていたり高橋みなみがいたりで人選のチョイスがよくわかりません。ゴルゴ松本は慰問のイメージがあるのでなんとなくわかる。
法務省が主催する、刑務作業の現状と重要性について広く知ってもらうイベントのようです。ずっと刑務所について詳しく知りたかったのでこの上ないイベントでした。
この図を見てすぐにパノプティコン監獄が頭に浮かびました。けしてそういう趣向とかではなく、施設の構造ゆえだと思います。
会場は11のブースに分けられ、刑務作業広報コーナーや矯正職員採用コーナーが設けられているほか、刑務所作業製品の展示販売や、刑務作業体験の催しが行われていました。
会場は思ったより広く、また人もたくさんいました。
北海道から九州まで日本全国から刑務所、少年院が集まっていました。伝統工芸品を出していたりと、作られている製品も地域性が出ており興味深かったです。
函館少年刑務所のマル獄シリーズ。デザイン性の高さが何かで話題になったのを見たことがあります。前掛けなどがよく売れているみたいでした。
前に製造業の取材で、工場内をスタイリッシュにデザインすることで作業従事者のモチベーションを向上させる「ファクトリーアートメーション」という概念を聞いたことがあり、もし函館少年刑務所も作業品のデザイン性が高いから受刑者のモチベーションが上がるという好循環が起きていればいいなと思いました。
起きてるかはわからないので詳しい人教えてください。
昨年の受刑者脱走事件が記憶に新しい愛媛県の松山刑務所はレザー製品を多く出品していました。手に取って見るとかなり細かく作られており、皮の材質もとてもよかったです。丁寧に作られていることがわかります。値段もかなり安い。
富山刑務所では木工作業品としてお神輿を製作していました。
迫力があってすごい。品質が良くて市場価格より安いのでけっこう注文が入っているそうです。こういうものも作っているとは……。
私は山口県出身なのですが、地元の刑務所も出展しており驚きました。
主に陶器を販売しており、話を聞くと伝統工芸品「萩焼」の陶器なのだそう。
萩焼とは江戸時代に毛利氏の窯元として発展した有名な陶器で、多くの茶人に好まれてきた器です。柔らかい風合いが特徴で、いつか買おうかなと思っていたのですがここでお目にかかるとは。
これくらいの大きさのやつは普通に買うと2,000円くらいするので600円はかなりお買い得です。ちょうど欲しかったのでいい買い物をしました。
網走刑務所がオホーツクの流氷を持ってきていました。
ひんやりしていました。
これは岩国刑務所が出してた刑務官バージョンのくまさん。
キティちゃんとダニエルくんもいました。
上から無理やり作らされたのが伺えるフェルトさいころもありました。
戒めとしての意味合いが強い。
いろいろ作っていてすごい。北海道はシュラフを作っていたりと地域性が色濃く感じられます。松山刑務所のトートバッグがおしゃれでよかった。
府中刑務所特製のコッペパンの販売もありました。
刑務所内で作られ、受刑者も食べているというコッペパン。府中刑務所で毎年開催される文化祭で販売しているそうですが、すぐに完売してしまう人気商品なのだそう。私も並びましたがものすごい行列でした。
行列の後ろに府中刑務所の矯正職員の人がいて、話しているのを聞いたのですが、1日に焼けるのが1500個でそれを全部持ってきているそうです。
大ぶりのコッペパンが2つ入っており100円でした。安い。2袋買いました。
素朴な味でめちゃくちゃおいしいというわけではないのですが、とにかく中身がぎゅっと詰まっており手に取るとずっしりとした重さを感じます。1本食べるとかなりお腹がいっぱいになります。
栄養もあり腹が膨れて質実剛健という感じでとてもよかったです。こういう機会でもない限り刑務所のご飯を食べることってないだろうな。
これは展示コーナーにあった府中刑務所の炊事作業の説明。
外国人男子受刑者もいるのでパンを焼いているそう。刑務所の食にめちゃくちゃ興味があるのでこういうのもっと知りたいです。
会場内では物品の展示販売のほかに、スタンプラリーといった刑務所に親しむ催しもありました。刑務所のマスコットのスタンプを押すと刑務作業品がもらえます(自分がやったときは終了してたのでお菓子をもらった)。
和歌山刑務所のわかピーがかわいい。
犯罪予防の啓発ビデオも上映されていました。
「逮捕」と書かれたドミノが倒れるシーン。
この隣には犯罪被害者支援団体がブースを出しており、亡くなった被害者の靴といった遺品が展示されていました。
性格検査体験コーナーがあったのでやってみました。60個の質問に答えていきます。問題は写真NGですが、「怒ったときは人に当たるか」「絶対にバレない状況だったらタダ乗りするか」といった質問がありました。
すぐに結果が出ました。だいたい当たっている。
黄色が平均で、青が平均以下です。
意志は弱くなく、朗らかではないということが明らかにされた。
個人的にかなりグッと来たのは電話詐欺防止のブースが出していた、オレオレ詐欺犯の肉声が聴ける展示です。
犯人と被害者の生の会話が録音されており、嫌な生々しさを感じました。最初は腰が低く話し、会話が進むにつれてどんどん高圧的になってきました。最初は冗談半分で聞いてたっぽい被害者がだんだん焦ってくる様子が伝わってきてイヤでした。
これどうなったんですか? と担当者の方に聞いたら最終的には被害に合わなかったそうなので救われた気持ちになりました。
担当者の方にネットでも聴けると教えてもらいました。興味がある人はどうぞ。
刑務官の教本が売っていたので買いました。一般的には流通しておらず、レアです。
受刑者との付き合い方や、拘束着を着せるときは3時間までということが書かれています。さらっと読みましたがかなりおもしろいです。これで刑務官の知識を得るぞ。
刑務所作業品は伝統工芸品が多く、神輿や焼き物といったかなり技術力が必要となるものがあり驚きました。
伝統工芸の職人がどんどん減っていくなか、技術継承の問題を解決するのは実は刑務所の受刑者なんじゃないかという気がします。
今回は体験できませんでしたが、藍染体験ブースなどもあり充実していました。
かなりおもしろいイベントでした。次回開催も楽しみです。
おわり