今回はみなさんにわけのわからないものに触れるという体験をしてもらいます。
みなさんはDVDレンズクリーナーというステキガジェットをご存じですか?
もっとも私は最近までDVDレンズクリーナーというものがあるのを知らず、またステキだと思うようになったのもつい最近です。
DVDレンズクリーナーとはその名の通り、DVDプレイヤーの読み取り部分のレンズをきれいに掃除してくれるディスク型装置です。
よくレンタルビデオ屋さんに置いてるなという印象です。私もレンタルビデオ屋さんで借りました。
普段DVDを再生するようにディスクをプレイヤーに入れて再生することで掃除をしてくれます。
一般的なDVDレンズクリーナーはディスクの裏側にこのような小さなブラシがあります。
奥に見える黄色いのはカロリーメイトです。
糸くずのように見えるこのブラシがレンズ部分を掃除するみたいです。
ディスクの裏側にこうしたものが付いているのを今まで見たことがないので強烈な違和感を感じるはずです。
ディスクの裏側に市場を見つけた製作者の商魂には恐れ入ります。
今回紹介するのはノンブラシタイプのDVDレンズクリーナーです。
やれブラシだノンブラシだと何を言っているのかわかりませんがクリーナー界隈ではシノギを削っているようです。
こちらです。
どことなくサイケデリックで強そうです。
このクリーナーの裏面にはブラシではなくこのような穴が空いています。
この穴がいい感じに作用してDVDプレイヤーのレンズを掃除してくれるようです。
ではその実力を拝見するとしましょう。
すみません。状況が飲み込めませんでした。
このクリーナーを再生するやいなやサボテンの生えた砂漠をダイナミックに浮遊するディスクの映像が流れ出します。
掃除している間退屈しないようにというユーザーへの配慮がうかがえますがそれにしたってこりゃないでしょう。
そう思っていた矢先、軽快な音楽とともにこの映像が流れ始めました。
浮遊していたディスクが増殖し、一斉に回転を始めました。
もし私が赤ちゃんなら泣いてたと思います。
正直怖かったです。
そのあとしばらくするとようやくクリーナーについての説明が始まります。
従来のブラシ式だったらブラシがレンズを傷つけてプレイヤー自体の寿命を縮めてしまうらしいです。
ですがその点をクリアしたのがこのノンブラシクリーナー、
「エアストリームがエアホールを通過するときエアシャワーとなりレンズ部分に向けピンポイント噴射」
されるようです。
クリーナーの人がそう言ってました。
横文字カタカナの妙でしょうか、要するに風で汚れを吹き飛ばすようです。
効果は確かではありませんが人間でいう耳そうじといっしょできっと機械も気持ちいいのだと思います。
ひと通り説明が終わるとなぜかシーンセレクトができるようになりました。
既にディスクそのもので商品の体をなしているのにそこにさらにコンテンツを詰め込むとは仕事が細かいです。
以上のコンテンツの中から私が気になったものを数点ご紹介させていただきます。
まずはこちらです。
これはオーディオシステムの再生限界のチェックをする映像です。
周波数の違う音を再生し、限界へ挑む、というわけです。
「オーディオシステムの再生限界とあなたの聴力限界に挑戦してみよう?」
と、やたらグイグイきます。
まさか自分の聴力限界に挑戦することになるとは。
このような感じで1KHzから20KHzまでチェックしていきます。
私は17KHzまで聴こえましたがそれ以上はどうにもダメでした。
クリーナーの中の人が、
「全部聴こえた人はもしかしたらイルカの言葉がわかるかもしれないね」
って言ってました。
ちょっと何言ってるかわかりませんでした。
他にも中の人は、全部聴こえた人いる?
と問いかけておいて、
「そこの半分手を上げている君はいったいどっちなのかな?」
と、強引なインタラクティブを提案してくるので厄介でした。
お次はこちらです。
いきなりフルーツが登場するのでわけがわかりませんでした。
このあとなし、ぶどうとフレッシュフルーツのオンパレードでした。
おそらく色彩チェックのためのものだと思うのですが、クリーナーの中の人はうんともすんとも言いません。
写真はバナナのことを想うオレンジです。
恋心が隠れていました。
ついにはフルーツが大集合しました。
よく見るとすべて合成写真であることがわかります。
全然仲良くない人たちといった飲み会の集合写真のような居心地の悪さを感じますね。
最後の極めつけがこちらです。
「it's time stretch your body!」
まさかDVDレンズクリーナーを借りてストレッチをすることになるとは。
こちら側の身体の領域にガンガンアクセスしてきます。
有無を言わせずストレッチが始まりました。
上半身を中心にほぐしていました。
ところで、スポーツインストラクターをしている先輩にこのストレッチについて訊いてみたところ、このストレッチは非常に理にかなったものだそうです。
ストレッチはまずはじめに大きな筋肉から伸ばしていき、徐々に小さな筋肉を伸ばしていくものらしいです。
だからこのお粗末に封入されたわけわかんないカクカクポリゴンの外国人のストレッチの映像を観て非常に驚いていました。
馬が先輩です。
私はブタです。ブヒ〜。
レンズの掃除をしつつも私たち視聴者の健康をも思いやることのできる製作者の心遣いを感じました。
いっしょにストレッチして愛を表現しました。
照明も相まって神秘さを湛えているように思えてきました。
きっと疲れています。
まとめ
DVDレンズクリーナーはそれ自体で商品として完結しているのに、愛すべき蛇足というべきか様々なコンテンツが封入されていた。
そこには追加のコンテンツはあくまでおまけであるという前提があるため独特のゆるい雰囲気が漂っている。
もっと愛すべき蛇足というものがまだこの世のどこかに眠っているような気がする。
余談
自分は友達がいないので今回の写真はアパートの隣の部屋の人に撮ってもらいました。
私物のガスマスクを被ってもらいました。
どうやら緊張していたようで手が震えていました。
もし自分があちら側の立場だったら面識のない隣人にいきなり呼ばれてガスマスクを被らされたら生きた心地はしないと思います。
おわり