青春キラキラ号

夜行バスはそう夜行バスと呼ぶのがおそらく適切で、高速バスや深夜バスなどと呼ぶのは間違っていると私は思う。

高速バスと呼ぶほどバスは早くはないし、深夜バスって言われてもカッコつけてんなよタンカスと思う。

だから夜に行く夜行バスという呼び名がふさわしい。夜に突き刺さる夜行バス、どこまでも夜行なのだ。

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夜行バスは乗り合いバスで、1つのバスにだいたい40名くらいが乗り込む。座席は3列シート、4列シートとあるがスタンダードなのは4列シートで、知らない他人と隣掛けである。

その値段は新幹線や飛行機などに比べれば圧倒的に安く、東京⇄京都間が平日2000円で行けちゃうくらいだ。新幹線が14000円くらいなので安すぎて驚く。クーポンを使えば1000円くらいで行けるときもある。ちょっとオシャレなカフェでランチするくらいのお金で東京まで行けちゃうのだ。これってすごいことではないか。


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今回は破格の950円である。
まさか3桁になるとは。

それだけ安いと乗り心地なんかクソなんでしょ、とか思うかもしれないがそもそも乗り心地は周りによって左右されるものだ。

夜行バスの乗り心地はとなり前後の乗客によって多くの部分を占められるといってもいいだろう。そこには想像を超える駆け引きがあるのだ。

まずは隣の客、1番気になるのが座席と座席のスペースの確保である。おのおのの領域を隔てるものは座席と座席の境目、これは国境と言ってもいい。今まさにクソデブと私の間でせめぎあいが行われている。

夜行バスの席には窓側、通路側がある。通路に足を投げ出せる分スペースは通路側の席に利がある。今回私は通路側、完全なるスペースが確保されていたかのように思えた。しかし窓側のデブ、糖尿病患者のようにぶくぶくと膨れた足をこちら側のスペースに侵犯している。侵入して犯している、バカ。お前の汚ねぇパルマ・プロシュートをこちらに提供してくれてんじゃねぇよクソバカが。そしてこのデブ靴はおろか靴下まで脱いで裸足である。臭い臭い臭いもう嫌、足の指を切り落として指と指の間の溝であった部分をへちまでゴシゴシとこすれ。バカ。デブはやたら頭を掻く。ボリボリボリボリボリボリと、頭皮と指の音を隣で聞かせるんじゃあないよ。デブは暑がりだから薄着、じんわりと汗をかいていてそこだけ周りの空気がぬるい。デブと接している肩からデブの湿り気がこちら側へやってくる。デブの体液がこちら側に滲んでくる感覚、毒が体に浸透していくというのはまさにこういう感じなのだなと思う。

デブとのせめぎあいが続く中、前の座席のねずみ男みたいな出っ歯が席を断りもなくリクライニングしようとしてきたので全力でブロックした。膝を前の座席の背もたれにあてがってそれ以上倒れないようにした。あれ?おかしいな、じゃねぇぞバカ。最初に倒したい旨をお断りしろよ。それからだろ、倒すのはよ。

後ろの席からはまるで地鳴りのような猛烈ないびきが聞こえてくる。不快すぎる。

低価格バスにホスピタリティを求めるのは間違っているのかと聞かれれば間違ってないと答えるつもりでいる。だって夜行バスの乗り心地を決めるのは周りの乗客なのだから。夜行バスガチャでいい乗客が出れば気持ちよく乗れるし、悪い乗客が出れば車内は地獄である。それは開けてみなければわからない。

今回は運が悪かった。もう!!