最近はずっとボーッとしている。
何を考えるでもなくベッドの上で何もせず横になっていたら5時間経っていた。
天井を見ていた。白い天井が薄黒くなるくらい。
一種のトランス状態だったらいいんだけどそんなことはなくて、ボーッとすることによって何かしらの啓示が得られるわけでもなくひたすらに無為な時間を過ごしている。
部屋の掃除、電気代の払い込み、延滞した本の返却、やらなければいけないことはたくさんあるのに。
とある漫画でボーッとするにはどうするか、ということを紹介していた。マンガの登場人物は椅子を想像するといいという。革張りの椅子でもなくパイプ椅子でもなくパソコン室にあるような簡素な椅子。
その椅子が白い空間にただひとつだけある。誰もいない空間、誰も座らない椅子。
ボーッとするということはすなわち何も考えないことなのだから、椅子のことを想像するというのはどこか矛盾しているように思える。が、実際に頭に像を結ぶと頭がからっぽになっていく。
椅子がズブズブと白い床に沈みとろけて無くなる。残された白亜の地平がどこまでも続いていく。
何かに集中すると何も考えてないことになるのは不思議だなと思う。
そんなことをずっと続けている。やりたくてやってるのか、そうじゃないのかはわからない。
白い天井は椅子が沈んで消えた白の地平と応答しているのかもしれない。
俺はボーッとしている。