知ってる人とすれ違うの難しすぎ

駅の階段、コンビニの通路、住宅街の路地、毎日いろんな人とすれ違うけれど、そのほとんどが初対面かつ今後自分の人生に登場することはないので特に気を揉む必要はない。しかし、友達とか会社の同僚とか知ってる人が前からやってきたら自分は何かしらのアクション(挨拶、会釈)を取る必要がある。今はそれがとても悩ましい。

すれ違うときの挨拶は今後のコミュニケーションを円滑にするためでもあり、アクションを取らないことによって関係が気まずくなるのを防ぐためだ。

でもそれはすごく難しくて、もし相手がこちらに気づいていて、こちらが向こうのことを認識していなかったらコミュニケーションは失敗だし、相手はきっと「なんで挨拶しないんだ、絶対に、殺してやるからな」と思うのでこちらの印象が悪くなることは確実なのである。

また、こちらが気づいていて、相手が自分のことを認識していない場合に挨拶をして反応が返ってこない場合は「挨拶をしたのに返さないなんて、もう泣いたり笑ったりできなくしてやる」と思うので最後は殺しあうしかなくなる。

つまり、予期しないタイミングでエンカウントしていきなりコミュニケーションを要求されるのはものすごくしんどいということなのだ。しかもいちいち人の顔なんか見ないので誰が知り合いでそうじゃないのかなんてわからない。

先述したのは外で遭遇した場合だが、例えば会社の廊下で同僚とすれ違ったりというクローズドの空間での振る舞いがとても悩ましい。

もちろん挨拶はする、心がけ、努力する。それはお互いがお互いの社内で気持ちよく過ごすためである。同じ空間にいるのだから挨拶した、してないということで揉めたくはない。それは自分も相手もお互いにそう思っているはずだ。でもやっぱり挨拶は難しい。

 ドアを開けたら相手が目の前にいたときの藪から棒エンカウントでは何をしゃべったらいいかとっさに出てこないし、自分の進行方向にいる相手が遠くからこちらに近付いてくるときの挨拶は本当にどうしたらいいか分からない。相手が遠くにいるときに挨拶をすると、対象がこちらに近付くまでの間は手持ちぶさただし、遠くにいた相手がこちらに近づいてきたときに挨拶をすると、すれ違うまでの間どこを見ていたらいいか分からない。何も表情を変えず辻斬りのように挨拶ができたらベストだが、もしそんなことをしたらコミュニケーションとしての挨拶は失敗だ。剣豪は自分の半径に相手が入ったら斬り伏せるという自分の間合いを持っているようだが、こと挨拶においてそうしたことを考えるのは煩わしい。また、相手は心のスイッチを切っているのにこちらが話しかけることによって無理やりスイッチをONにしているのではないか、という懸念もある。

従って、自分ができることは相手に「この人は私のことを認識している」ということを伝えることであると思う。口角を上げて微笑んだり、眉を上げて目を見開いてみたりという信号のようなアクションが必要なのではないか。だから今後すれ違う時は眉を上げて目を見開いて口角を上げて微笑みながら会釈して顔を伏せたまま通り抜けようと思う。願わくば。